研究課題/領域番号 |
20590173
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
解剖学一般(含組織学・発生学)
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
三浦 真弘 大分大学, 医学部, 講師 (50199957)
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研究分担者 |
内野 哲哉 大分大学, 医学部, 助教 (70423697)
紀 瑞成 大分大学, 医学部, 助教 (60305034)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2010年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2009年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2008年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 硬膜外リンパ系 / 前リンパ管通液路 / 髄液漏出 / 硬膜外自己血注入療法 / 脳脊髄液減少症 / 自己静脈血注入療法 / 脈管外通液路 / 脳脊髄液側副吸収 / カニクイザル / 形態学的解析 / 硬膜外ブラッドパッチ / 脊髄髄膜 / 酵素組織化学 / 脊髄くも膜下角 / くも膜下角 |
研究概要 |
(1)CH-40クモ膜下腔内注入実験から、炭粒子の硬膜浸潤ならびにその漏出好発部が硬膜-神経根移行部(SAA領域)であること、また漏出好発部が硬膜外リンパ管網(ELN)の発達する頸部髄節領域において著明であることを見出した。(2)注入実験では、脳脊髄液減?症の画像診断で好発する腰髄膜領域の脳脊髄液(CSF)漏出現像は認められなかった。(3)注入炭粒子は高CSF圧条件において頸-胸髄領域から脊髄硬膜外リンパ系を介して体性リンパ系に速やかに排導された。(4)硬膜線維内の炭粒子の浸潤速度はSSA領域で特に速く、またELN内進入後の吸収速度も極めて迅速であった。(5)実験的EBPでは、頸髄領域と同じく腰髄神経根領域においても髄膜密着性をともなう血塊形成は観察されなかった。(6)EBPにおいて唯一生じた血塊群の髄膜付着領域は硬膜背側部に限局した。(7)SAA部に出現した脊髄クモ膜顆粒は、個体間で出現頻度は低く髄節全体の神経根8%程度であった。(8)クモ膜顆粒先端部は硬膜内に陥入し、同部は発達したリンパ管と毛細血管網によって完全に被覆された。(9)成人SAA硬膜において約5μmの小孔群(篩状斑)が頸-胸髄領域に認められた。胎児では更に発達した篩状斑が神経根に広く認められた。(10)篩状斑の分布域とELN発達領域との間には高い相関が認められた。(11)炭粒子の強い硬膜浸潤領域には篩状斑構造が局在し、またクモ膜内側の境界細胞間においてもArachnoid channelが認められた。以上の結果から、髄液漏出SAA硬膜に存在する脈管外通液路を介するCSF経リンパ管側副吸収路の線維拡張やその破綻に起因する可能性が示唆された。またEBPの髄液漏出制御に必要と考えられる形態学的根拠((1)神経根基部篩状斑、(2)クモ膜顆粒部、(3)硬膜外リンパ系発達部、(4)解剖学的脆弱硬膜部領域)から、EBP由来の血塊形成・脆弱性の高い髄膜への密着効果はSAA部に常在するFat padが障壁となって困難と考えられた。ただし、BPによって硬膜外圧を一次的に上昇させることで間接的にSAA硬膜部が圧迫されて、脳脊髄液減?症のような異常な髄液漏出が制御される可能性は残された。
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