配分額 *注記 |
4,810千円 (直接経費: 3,700千円、間接経費: 1,110千円)
2010年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2009年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2008年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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研究概要 |
8-12週齢の雄性BALB-Cマウスに盲腸結紮穿孔(cecum ligation and puncture:CLP)を行い,敗血症を生じさせた.EMSAゲルシフトアッセイにより,AP-1活性はCLP後時間とともに肺組織において顕著に上昇することが認められ,AP-1デコイ核酸をCLPマウスに投与しておくと,敗血症誘発性の肺AP-1活性刺激は大きく低下した.CLP後24時間の肺組織および大動脈において,デス受容体であるTNF-R1,Fas,DR4,DR5の膜表面への発現は増加し,デス受容体経路のアダプター蛋白であるFADDの発現も増加した.肺組織におけるこれらの変化は,AP-1デコイ核酸導入により著名に抑制された.TUNELおよびDNA ladderアッセイにより,CLP誘発性敗血症により肺組織のみならず大動脈,脾臓においてアポトーシスが有意に増加しており,肺でのアポトーシス増加はAP-1デコイ核酸投与により阻止された。アポトーシスのみならず,炎症反応もAP-1デコイ核酸導入により抑えられた.すなわち,炎症性受容体や炎症物質であるIL-1R,IL-6R,HMGB-1,gp130の発現は,LPS刺激をしたマウスの肺組織において著名に増加したが,AP-1デコイにより減弱した.LPS 10mg/kgを投与したマウスの生存率は,無処置だと48時間以内にすべて死亡したが,AP-1デコイ核酸により著名に改善した。以上の結果から,AP-1活性をブロックしてデス受容体ならびにアポトーシス関連蛋白ならびに炎症性関連物質の発現を抑える転写因子デコイを用いた戦略は敗血症にとって新しい治療方法であることが示唆される.さらに,AP-1により転写されることが見出されたデスシグナルで重要な役割を担っているFADD遺伝子をノックダウンしたところ,CLPマウスにみられる急性肺傷害や血管内皮障害所見は有意に治療効果が認められ,結果的に生存率も著明に改善した.このことは,FADD siRNAは敗血症治療の効果的な治療戦略として有用であるかもしれない.
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