研究概要 |
テラヘルツ波(以下THz波)の1)光波の直進性と電波の透過性の双方の性格を有すること、2)画像(イメージング)に必要な波長をレンズ等で取得が可能であること、3)物質に特異的な振動波長、即ち物質特異的スペクトルを有すること、4)生体侵襲性がないことなどの特徴を応用して、今回は、形態観察を含めより精度の高い病理組織解析技術の確立とその実用化のための研究を遂行した。 1) THz波によるパラフィン包埋組織切片の病理組織解析への応用が可能である。 Miura Y, Kamataki A, Uzuki M, Sasaki T, Nishizawa J, Sawai T : Terahertz-wave spectroscopy for precise histopathological imaging of tumor and non-tumor lesions in paraffin sections. Tohoku J Exp Med. 223 : 291-6(2011) 2)手術中の迅速診断に用いられる凍結切片での解析が可能である。これは、手を加えない、より自然な組織であるため、組織解析だけでなく、4)の物質解析との併用も可能性である。これは、現在、論文を作成中である。 3)THz波イメージングにおけるTHz波の組織透過性因子の組織、細胞学的解析を行い、透過性に与える影響は組織、細胞の多寡による密度の問題だけではなく、壊死、変性、肉芽組織、線維化など質的違いによる可能性も受ける可能性も示された。この成果については、現在、論文を作成中である。 4)THz波による生体分子マーカー(抗体、特異的生体物質)の検出への応用)、細胞の微細な変化、特に癌化などに際しての微細な変化を把握でき、癌の発生の解析ならびに早期胃癌の発見に利用できる可能性がある。 以上の成果により、テラヘルツ波によるより精度の高い病理組織解析の発展性が示唆された。
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