配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2010年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2009年度: 2,210千円 (直接経費: 1,700千円、間接経費: 510千円)
2008年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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研究概要 |
平坦陥凹型大腸癌の発生予知を目的に,手術摘出,病理組織学的診断された後の大腸癌症例において肉眼的に正常大腸粘膜と思われる部位を以下のように検討した。検討された53症例は平均63.8歳(男性39例,女性14例),全例,アルシアンブルー染色によるムチン枯渇巣(mucin-depleted foci,MDF)とメチレンブルー染色による大腸陰窩変異巣(aberrant crypt foci,ACF)を同定した。今回,MDFは平坦型(flat-MDF)とACF様の陰窩を呈する隆起型(protruded-MDF)の二つのカテゴリーを分類し、それぞれの数と出現部位を観察・測定した。結果:既に報告している齧歯動物同様にMDFが存在することは平坦型腫瘍の初期病変の可能性が示された。具体的にはACFの出現は合計354個,頻度46症例(86.8%),flat-MDFは合計41個,頻度20症例(37.7%)及びprotruded-MDFは合計19個,頻度13症例(24.5%)であり,面積当たりの出現は,ACFは0.048/平方センチ,flat-MDFが0.0056/平方センチ,protruded-MDFが0.0026/平方センチであった。組織学的観察の特徴として,MDFの病変は、齧歯類で見られる高度異型な腺管は乏しいものの、通常左結腸には認めないパネート顆粒を伴っていた。また、腺管周囲にリンパ球浸潤が目立つ傾向があった。protruded-MDFはflat-MDFと同様に異型腺管としては軽度ではあるが、一部異型を伴っていた。以上から,ACFとは別に粘液成分が減少ないし枯渇する腺管からなる前癌病変の存在し,その平坦型に増生することより,癌発生の母集団となる可能性を示唆された。
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