研究概要 |
アエロモナスのプロテアーゼを解析し、以下の成果をあげた。 1,アエロモナスの種々の菌種のプロテアーゼ活性を、カゼイン分解とエラスチン分解とで測定した。エラスチン分解活性ば患者由来のA.hydrophilaから多く検出された。 2,A. hydrophilaのメタロプロテアーゼをクローニングし、発現系を構築した。解析の結果、メタロプロテアーゼは50kDaのサイズで菌体外に現れるが、その後34kDaに切断される。切断はカルボキシ末端で100アミノ酸残基程度、アミノ末端で40残基程度が切断される。 3,メタロプロテアーゼの34kDa,50kDaともにカゼインを分解するが、エラスチンを分解するのは50kDaのメタロプロテアーゼである。 4,エラスチン活性陽性、陰性のA.hydrophilaの20株ほどのメタロプロテアーゼ遺伝子の配列を決定した。エラスチン分解を示す菌のメタロプロテアーゼは系統的に異なる事がわかった。 5,メタロプロテアーゼは培養の初期から産生される。そして2で記載した50kDaから34kDaへの移行は、菌から違れて産生されたセリンプロテアーゼの切断により促進される。 6,3%食塩の存在下ではメタロプロテアーゼを産生しない。メッセンジャーRNAを解析した結果、食塩存在下ではメタロプロテアーゼ遺伝子の転写が抑制されていることが判明した。 7,自然界でのアエロモナスの生存を調べた。アエロモナスが最も多く検出されたのは汽水領域であった。また淡水においても塩濃度が上昇すると、アエロモナスよりもビブリオ科細菌が増える傾向にあった。
|