研究課題/領域番号 |
20590736
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
消化器内科学
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
根本 泰宏 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, GCOE拠点形成特任教員 (20456213)
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研究分担者 |
渡辺 守 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科・消化器病態学, 教授 (10175127)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)
2010年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2009年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2008年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 炎症性腸疾患 / IL-7 / メモリーT細胞 / 骨髄 / 腸内細菌 / 無菌マウス / 間葉系幹細胞 / CD4^+ T細胞 / CD4^+T細胞 / CD4+T細胞 |
研究概要 |
本研究は炎症性腸疾患難治性・永続性の要因である疾患フェノタイプを記憶した"腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞"の維持機構を解明し、疾患記憶を“リセット"する究極の炎症性腸疾患根治療法の開発することを目標とする。今回の検討おいて以下の事を明らかにした。1)腸内細菌抗原は腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞がエフェクター細胞へと分化し、腸炎を発症するためには必須の因子であるが、メモリーT細胞の維持においては必須ではなく、骨髄IL-7は腸内細菌抗原非依存的に腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞を維持する事を、無菌マウスシステムおよび抗IL-7受容体抗体を用いたIL-7/IL-7受容体シグナルの中和実験によって証明した。2)腸炎惹起性メモリーT細胞の維持機構における骨髄IL-7の必要十分性を、IL-7^<-/-> x RAG-1^<-/->マウスへのIL-7^<+/+> x RAG-1^<-/->マウス由来骨髄移植を行い、骨髄特異的IL-7発現RAG-2^<-/->マウスを作製し、CD4^+CD45RB^<high>T細胞移入腸炎を誘導することにより証明した。3)骨髄間葉系幹細胞(MSC)を純化培養し、IL-7の発現を検討したところ本細胞が40世代以上の継代培養においてIL-7のmRNAを発現した。また蛍光免疫染色およびフローサイトメトリーによる検討においてIL-7蛋白を発現することを示した。4)IL-7^<+/+> x RAG-1^<-/->マウス骨髄由来MSC(IL-7^<+/+>MSC)とCFSEラベルを行った腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞を供培養したところ、4週間以上にわたりメモリーCD4^+T細胞の分裂、維持が確認された。一方IL-7^<-/-> x RAG-1^<-/->マウス骨髄由来MSC(IL-7^<-/->MSC)とメモリーCD4^+T細胞の供培養群では分裂、維持が見られなかった。5)IL-7^<+/+>MSC あるいはIL-7^<-/->MSCをIL-7^<-/-> x RAG-1^<-/->マウスへ移植し、3週後にCD4^+CD45RB^<high>T細胞を移入したところIL-7^<+/+>MSC移植群のみ慢性大腸炎を発症し、同マウス骨髄においてIL-7産生細胞と接してCD4^+T細胞が維持されていた。 以上の結果から腸炎惹起性メモリーCD4^+T細胞の維持機構においては、骨髄に存在するIL-7産生性間葉系幹細胞が重要な役割を有することが示された。本知見は炎症性腸疾患難治性の要因として、腸管外リザーバー臓器の重要性を明らかにするのみならず、本機構をターゲットとした治療法の可能性を示唆する非常に重要な進歩である。
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