研究課題
基盤研究(C)
塩化鉄処理in vivo血栓モデルにおいてnicorandilの抗血栓作用が観察されたが、血小板などの血球成分へのnicorandilの抗凝固作用はなかった。このため本研究では、血管内皮細胞の保護による抗血栓作用についてnicorandilを用いて検討した。対照群、nicorandil群、nicorandil+5-HD群、nicorandil+L-NAME (NOS阻害剤)群を対象として、マウス動脈での塩化鉄処理による血栓形成時間を比較した。また、培養血管内皮細胞を用いeNOSおよびNOX生成へのnicorandilの影響を測定した。in vivo血栓モデルでの活性酸素種(ROS)産生は、dihydrorhodamine123で測定した。塩化鉄処理により動脈内に処理後12±3分で大血栓が形成された。nicorandil群では、大血栓形成までの時間が55±11分と延長した。Nicorandil+5-HD群では、19±5分とnicorandilの作用は抑制されたが、nicorandil+L-NAME群では、28±8分と有意な抑制はなかった。培養血管内皮細胞においてnicorandil 添加によるeNOSのmRNAやリン酸化状態およびNOx産生に変化はなかった。in vivo血栓モデルにおいて塩化鉄処理によるROSの産生は、nicorandil群で有意に抑制された。Nicorandilの抗血栓作用は、抗血小板作用や硝酸薬作用ではなく内皮細胞の機能障害を改善するためと考えられた。本作用の機序としては、ミトコンドリアATP sensitive K+channel開口作用を介してミトコンドリアからのROS漏出を抑制する可能性が示唆された。Nicorandilは、ミトコンドリアのROS産生抑制を介する内皮細胞保護作用に伴う抗血栓作用の可能性が示唆された。
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