研究課題
基盤研究(C)
酸化ストレスは、動脈硬化を基盤とした心血管病の発症に深く関与しており、心血管系における活性酸素産生源として、NAD(P)H oxidaseは一義的な働きをしている。また、LOX-1/NADPH oxidaseは、血小板にも機能的に発現しており(Thromb Res.2001;103:399-409)、血小板機能、血栓形成過程に重要な役割をしていることが考えられる。NAD(P)H oxidaseは、膜分画に存在するgp91phox、p22phox、細胞質分画に存在するp47phox、p67phox、p40phox、及びsmall G proteinであるracから構成されており、racの活性化とともに細胞質コンポーネントがリン酸化を受け、細胞膜にtranslocationし活性化される。また最近gp67phoxのホモログとしてNOXA-1が同定されたが、その機能的意義は不明である。そこで今回、我々は、血管内皮細胞における、このNOXA-1の重要性を、sRNAiを用いた系にて検討した。培養ヒト血管内皮細胞には、NOXA-1、LOX-1とも強発現していた。NOXA-1 sRNAi処置あるいは、抗LOX-1抗体前処置により、酸化LDL添加により活性酸素の産生は抑制された。このように、NOXA-1は、血管内皮細胞に機能的に発現しており、酸化ストレス制御のターゲットになると考えられた。我々は、HVJ liposome法によるin vivoにおけるTLR2、TLR4遺伝子導入の系を用いて、家兎動脈硬化モデルにおいて、TLRを介する系が動脈硬化を著明に促進することを明らかにした。現在、HVJ liposomeによる遺伝子導入法を用いたNOXA-1遺伝子導入系を、LOX-1遺伝子改変マウスに応用することにより、LOX-1/NADPH oxidaseを介する酸化ストレス系の相互関連を検討している。
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