研究課題
基盤研究(C)
慢性腎臓病(CKD)患者の心血管病(CVD)の発症率や死亡率が高いことが明らかにされ、「心腎連関」なる概念が注目されてきている。血管内皮障害は動脈硬化の発症・進展に関与するばかりでなく、腎局所での内皮障害が尿蛋白の発症、腎障害の進展に関与することが明らかとなり、内皮障害は心腎連関を介在する重要な因子と想定されている。本研究では、この内皮障害の主因とされ、CKD患者で著名に上昇する非対称性ジメチルアルギニン( ADMA)のCKDでの動態、バイオマーカーとしての可能性、上昇機序、心腎連関病態における役割を検討した。CKD患者の血漿ADMA濃度はCKD stageの進行に伴い上昇し、その上昇が独立してCVDのサロゲートマーカーである脈波伝播速度や左室重量係数や腎においては、慢性化病変である糸球体硬化や間質線維化と密接に関与していること、またADMAが高い症例ほど年次GFR低下速度が速いことが明らかとなった。CKD動物モデルを用いた検討では、ADMAの上昇機序として腎におけるその代謝酵素DDAHの発現・活性低下が主因であることを見出し、DDAHの発現を増幅させるとADMAの蓄積を抑制し、血管内皮機能を改善させるばかりでなく、進行性の腎機能障害やアルブミン尿の増加が抑制できることが観察された。以上より、ADMAはCKD患者で、その進行とともに上昇し、CVDやCKDの進展に密接に関与する新たな尿毒素であり、ADMA-DDAH系を制御することが新たなCKDの治療戦略になることが期待される。
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