研究課題
基盤研究(C)
申請者らは、血液脳関門を形成する脳毛細血管内皮細胞およびアストロサイトを安定して供給するために、これら細胞の初代培養細胞に遺伝子導入し、長期培養可能な細胞株を得ることを試みた。マウスの脳から脳毛細血管内皮細胞を初代培養し、SV40T抗原cDNAを含むベクターを遺伝子導入し、3個のクローンを得た。一方、ラット胎児(E18)の大脳皮質から初代培養し、同じ手法にて10個のクローンを得た。これらの13個のクローンは、全てテトラサイクリンにて遺伝子発現がコントロール出来るTet-onシステムのベクターを用いたが、テトラサイクリンを除去した場合にSV40T抗原の発現低下が観察されなかったため、これらのクローンに、再度、Tet repressorを発現するベクターを遺伝子導入した。再び細胞株を選択し、ウエスタンブロットで確認したところ、テトラサイクリンを除去した場合にSV40T抗原の発現が消失するクローンを得ることが出来た。SV40T抗原のON/OFFにより、細胞株の性質(脳毛細血管内皮細胞やアストロサイト特異的タンパクの発現など)が、どのように変化するか、RT-PCRおよびウエスタンブロットにて確認を行なった。アストロサイトにおいて、GFAPの発現量を比較したところ、T抗原の消失に伴い、発現上昇傾向が観察された。現在、これらの細胞株を用い、共培養系を用いた細胞の形質の変化の検討を行っており、血管内皮細胞株におけるタイトジャンクション構成蛋白の発現の変化を観察している。
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