研究概要 |
本研究はコレステロール関連ステロイドの高感度・高精度一斉分析法を開発し,本邦における先天性ステロール代謝異常症診断システムの確立を目指すことを目的とした。10μl以下の極少量の乾燥血清中ステロールをピコリン酸で誘導体化し,エレクトロスプレーイオン化(ESI)を用いた高速液体クロマトグラフィータンデムマススペクトロメトリー(HPLC-MS/MS)によって分析を行った。コレステロールのほか50種類以上のコレステロール関連ステロールを,1回の分析で50分以内に同時分析することを可能にした。20種類の代表的ステロールを用いて行った定量的評価では,最小検出感度は1pg未満であり,再現性,添加回収に関しても満足のいく結果が得られた。本方法は極少量の血清でコレステロール関連ステロールの一斉分析が可能であり,まだ本邦において系統的な診断システムが確立されていない,先天性ステロール代謝異常症の血清診断に寄与できると考えられた。
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