研究概要 |
我々はテルル化カドミウム(CdTe)検出器を用いて以下4種のエネルギー弁別X線撮影システムを開発した。透過式X線カメラ(ED-CAM,2種),反射式蛍光X線カメラ(XRF-CAM,2種),エネルギー弁別X線CT(ED-CT,2種),そして蛍光X線CT(XRF-CT,2種)。ED-CAMでは,ヨウ素,セリウム,およびガドリニウムの造影剤やナノ粒子を用いたKエッジイメージングを行ない,空間分解能は0.2×0.2mm^2であった。XRF-CAMではマウス癌ファントムに残留した希薄な3原子(ヨウ素,セリウム,ガドリニウム)の分布を観察できた。ED-CTを用いた場合には,同様に3原子のKエッジイメージングが行なわれ,空間分解能は0.5×0.5mm^2であった。XRF-CTの被曝線量は大きいが,ヨウ素原子の分布を断層像として観察できた。振動式のラインセンサーを開発してED-CTに組み込み,第三世代の原理に基づく画像再構成を行ない,走査速度を5.0から25.0mm/sに増した。次いで15Mcps(mega counts per second)の世界最速エネルギー弁別CTを製作し,600mm/sの走査速度も達成した。エンボス撮影では平均フォトンエネルギーの異なる2ファイルの画像をずらして差し引くことにより,位相微分像と同等の画像が得られ,100・mフォーカスX線管を用いて拡大撮影をすることにより,40×40・m程度の空間分解能が得られた。
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