研究概要 |
大腸癌臨床検体4例の腫瘍部と非腫瘍部からtotal RNAを抽出しmicroRNA microarray(Agilent Technologies社)を用いて、microRNAの発現プロファイルを作成した。両者の発現プロファイルを比較し、大腸癌特異的に高発現するmiRNA(21個)を同定しか。21個の中で選択した6個(miR-31,miR-183,miR-18a,miR-17-5p,miR-20a,miR-92)についてはリアルタイムRCR(Applied Biosystems社)にて計測し、約69症例の大腸正常組織と比較して大腸癌組織で高発現していることを確認した。前述した6個のmicroRNAは大腸癌組織において高発現していることから、大腸癌の発癌・進展において重要な役割を果たしていることが示唆された。6個のmicroRNAの中で、miR-18a高発現群は低発現群と比較して予後不良となる傾向かおり、予後予測マーカーとして使用できる可能性がある。 また、glioblastoma、膵癌、乳癌、肝細胞癌、胆管細胞癌などで高発現すると報告されるmiR-21を胃癌臨床検体52症例の正常組織と腫瘍部でリアルタイムRCRを用いて計測したところ、正常組織と比較し腫瘍部で高発現し、miR-21高発現群は有意に腫瘍径、腫瘍深達度に関連した。また、miR-21高発現群は肝転移しやすい傾向がある(p=0.08)ことを確認した。miR-21は大腸癌において肝転移関連マーカーとして使用できるか否か検討することが重要であると考えられた。
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