研究概要 |
グルココルチコイド(GC)は、重篤な喘息、若年性の関節リューマチ、慢性的な腎疾患などの様々疾患の治療に使用されている。しかしながらGCの使用を6ヶ月以上使用することにより、GC誘発性の骨粗鬆症を約50%の患者が惹起すると報告されている。GCを小児期に投与すると骨粗鬆症のみならず,骨の成長発育抑制が惹起されることが報告されている。しかしながら小児期におけるGCが顎骨の骨代謝や骨微細構造に及ぼす影響については知られていない。ビスフォスフォネートは、骨粗鬆症の治療薬として広く使用されており、その化学構造と作用メカニズムの違いにより2つに大別される。リセドロネートのような窒素含有ビスフォスフォネートは、エチドロネートやクロドロネートのような窒素非含有ビスフォスフォネートに比較し、はるかに高い破骨細胞抑制作用がある。しかしながら,成長発育期の窒素含有ビスフォスフォネートがGC誘発性骨粗鬆症を惹起している顎骨の骨形成や骨構造への効果に関する報告は少なく解明されていない。 リセドロネートがステロイド性骨粗鬆症を惹起した成長期ラット脛骨および顎骨に対して比較検討することである。5週齢のWistar系雄ラットに対して,グルココルチコイド(GC)30mg/kgを6週間経口投与し,骨骨粗鬆症検索は、pQCTによるの解析、非脱灰標本による組織形態計測を行い比較検討の発症を確認した後、リセドロネート0(生理食塩水)、0.5,1.0mg/kgを4週間経口投与した。実験終了10日前と3日前カルセイン8mg/kgを皮下投与した。実験終了後、両部位を摘出した。 その結果,リセドロネートは、皮質骨の骨形成を促進することによって下顎骨の成長遅延を回復させた。骨量、骨強度低下は回復したところから,リセドロネートは,成長期ステロイド性骨骨粗鬆症に対して有効であることが示唆された。
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