研究概要 |
本研究の目的は,訪問看護ステーションからみた,精神疾患をもつ利用者への家族支援の体験とその頻度を把握し,その支援の困難要因を明らかにすることである. 2009年12月8日から2010年1月9日まで,300の訪問看護ステーションに質問紙調査を行った.82訪問看護ステーション(有効回答率27.3%)と160人の看護師が回答した.質問紙は,家族支援における困難場面の遭遇の有無と,29項目の具体的な家族支援場面における体験を看護師にたずねた.具体的な看護支援場面における体験は因子分析を用いてカテゴリー化し,家族支援の困難感との関係はロジステイック回帰分析を行った. 60人(37.5%)の看護師が家族支援における困難の遭遇があると回答した.29の具体的な家族支援の体験は「I.家族による支援体制の不十分さ」「II.サービスに関する手続き上の問題」「III.利用者への世話に関する家族の不適切な対応や認識」「IV.利用者よりも家族への訪問看護提供の比重の高さ」「V.家族の精神状態の不安定さ」「VI.家族による安全性が確保されない利用者への介護方法の選択」「VII.利用者のサービス利用や財産面の権利に対する家族の侵害」「VIII.訪問看護などの社会資源に対する家族の受入れの消極性」と8 カテゴリーに分類した.看護師の家族支援における困難感は各カテゴリーに関連したことから,家族支援における困難要因と考えられた。この領域における訪問看護サービスの促進のための課題を検討した.
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