研究概要 |
本研究では,既に開発されているロボットに対してアドオンできる形で,全身分布触覚を実現する新たな手法として,全身の自由な形状にフィット可能な導電性ニット方式による自在形状外装に着目し,アドオン型の柔軟ロボット触覚外装の可能性を検討するとともに,その信号処理法としてのEITの適用可能性評価を目的としている.平成21年度には1)対人インタラクション行動の中でのアドオン外装評価,及び2)EITシステムの体内組み込みのための小型化とアドオン外装における評価に重点を置いた研究を行った. その成果として,平成20年度に試作した上半身全体を覆う伸縮可能な外装を小型ヒューマノイドロボットに着用させ,各センシングポイントでの撫で,弱い押し,強い押しの変化を検知して状態遷移を行う対人インタラクションのための行動遷移ネットワークを試作し,評価を行い,再現性を持って人間とのインタラクションが十分可能であることを確認した.また,開発した導電性ニットにおけるEITの適用可能性に関する調査を行い,ニットの編み方により端子間抵抗値が大きく異なるため編み構造により,その適用可能性が異なることがわかった.具体的には,1)にて主に利用していた一目ゴム編み構造では領域を囲んで端子を配置した場合に抵抗が大きくなりすぎるためEITには適さない.しかしながら,ガータ編み構造により構成すれば,EITにおける基本的な計測方法であるAdjacent法により隣接電極に電流を流した際に,他の電極において電位差を計測可能なことを確認し,ガータ編み構造を取ることで導電性ニットのEIT適用が原理的に可能なことを確認した。
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