研究概要 |
本研究は,皮膚が行っている熱型センシングが可能なセンサの構築を目的としている.皮膚の行っているセンシング処理のポイントと今年度の進捗を以下に挙げる. (1)多数のセンサ群から特定のセンサ感度周囲に処理系のリソースを投入するフォーカシング処理. これは,処理系の問題であり,処理系のニーズからセンサの特徴が決定される.今年度までに,処理系の理論的構築を行っており,今年度はセルオートマトン素子によるフォーカシングのシミュレーションを行った.また,構築中のフォーカシング処理理論は知能発現との関係があることがわかり,それの理論的解明のために新たに「脳内修飾物質濃度場によって認識概念を自律形成する知能機械」(挑戦的萌芽研究H23~H25)として展開することができた,(2)発汗状態の変化を検知して外部環境をセンシングする. 人の皮膚は発汗によって体温調節と環境状態をセンシングしているが,微細な温度センサによって恒温状態からのずれを検知している.これを模して,加熱と温度感知行うセンサを提案して,実際に水分の微細な変動を検知できることを示した.これは,皮膚の保水量計測に転用され実用化を前提に発展中である.これは研究年度を延長して測定誤差の少ない位相熱型センシングシステムに進展した.現在,センシングの再現性や精度恒常などの検討中であり,成果は知財化の検討をした後発表予定である. また,発汗機構については半透性を持つ人工皮膚が存在せず自作する必要があったが,予算の制約などから断念した.(2011年にPDMSを用いた多層血管システムが発表されており,今後の展開においては,それの転用が見込める)
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