研究課題
挑戦的萌芽研究
ミクログリアの神経保護作用-毒性転換の調節メカニズムとして活性酸素酸性系の電子供与体となるNADPHの化学ゆらぎが大きく関与している可能性を鑑み、高速度カメラを装着した蛍光顕微鏡でNADPHの産生濃度のゆらぎ(代謝ポテンシャルの変化)と活性酸素産生を可視化して調べることを目的として研究を行った。本年度はその二年目として前年度に行った種々の条件でNADPH自家蛍光変化に連動しておこる活性酸素産生を培地にハイドロエチジン(dihydrotetramethylrozamine)を添加して発光させ撮像した。貪食現象はLAMP2-GFPの蛍光を観察して行った。次に、活性酸素産生が外来遺伝子導入により活性酸素産生が増大したミクログリア株(J.Biol.Cel.277 : 42136, 2002)におけるNADPH化学的ゆらぎの計測と貪食システム制御について調べた。この細胞ではLPSやIFNなどの活性化剤で処理する事無く大きなゆらぎが生じている事がわかった。上の結果から、ミクログリアの活性化や活性酸素産生は代謝的ポテンシャルのゆらぎの大きさと相関している事が明らかとなった。今回の研究では種々の活性化を引き起こす処理(薬剤処理や遺伝子導入)が代謝的ポテンシャルのゆらぎそのものを調節してミクログリアの活性化状態を増大させたのか、両者が独立して同時に起こっているかについての識別ができなかったが、少なくとも両者は相関して駆動されている事が推定された。今後、遺伝子改変動物由来のミクログリア等を用いてさらに解析していく予定である。
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