研究課題/領域番号 |
20650056
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
神経化学・神経薬理学
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研究機関 | (財)東京都医学研究機構 |
研究代表者 |
齊藤 実 (財)東京都医学研究機構, 東京都神経科学総合研究所, 副参事研究員 (50261839)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2009年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
2008年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 老化 / 学習記憶 / 加齢性記憶 / ショウジョウバエ / 加齢性記憶障害 |
研究概要 |
加齢による記憶力の低下(加齢性記憶障害)は脳老化の重要な表現型である。寿命が約30日で、定量的な学習記憶行動解析が可能なショウジョウバエは加齢性記憶障害の分子メカニズムを明らかにするのに適したモデル動物である。我々は加齢性記憶障害の変異体検索を行い、加齢による記憶力の低下が亢進した、加齢性記憶障害の亢進変異体solを単離した。solでは加齢性記憶障害が亢進していたにも関わらず、寿命の短縮など所謂個体老化の亢進は見られなかった。sol変異のマッピングを行ったところ、sol変異体ではP因子がnep遺伝子とtacc遺伝子の間に挿入されていた。そこでsol変異体でnepとtaccの発現量を調べたところ、何れの遺伝子発現量にも顕著な変化が見られなかった。これらの結果からsolではP因子がnep、taccとは異なる遺伝子のエンハンサー領域に挿入された系統であることが推測された。一方solは行動解析に先だって、遺伝学的バックグラウンドを野生型とそろえるためのバッククロスを行っている。そこでバッククロスを行ってもsolの遺伝学的オリジナルバックグラウンドが残っている領域を計算し、その領域に含まれる遺伝子の発現の野生型との比較、さらに加齢による発現変化の検索を行ったが、顕著な変化を示す遺伝子は見いだせなかった。このことはsolの表現型がオリジナルバックグラウンドに因るものではないことを示唆している。興味深いことにsolの表現型である加齢性記憶障害の亢進は温度感受性に起こることが分かった。即ち低温での継代では加齢性記憶障害の亢進が現れるが、室温(25℃)で継代していると加齢性記憶障害の亢進が喪失した。今後solの解析を進めるにはジーンチップなどを用いての網羅的解析が必要と思われる。
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