研究概要 |
先行研究を参考に脱メチル化剤である5-アザシチジン(5-Azacitidine : 5-Az)を使用して,ヒト間葉系幹細胞(human mesenchymal stem cells : hMSCs)から筋への分化誘導について検討した.hMSCsを増殖させ,筋芽細胞増殖培地に切り替え,最終濃度3μMの5-Azを添加して筋への分化誘導を行った.添加24時間後,培地交換により5-Azを除去し,筋芽細胞増殖培地で培養を継続した.分化誘導前,誘導7, 14, 21, 26日後にサンプリングを行い,形態とmRNAの解析を行った.しかし,顕著な形態変化や分化マーカー(Pax7, MyoD, myogenin)の発現もみられなかった.MSCsは,中胚葉由来の組織へ分化できると考えられ,筋へも分化する能力があると考えられているが,実際には,遺伝子導入をせずに筋へ分化誘導できたという報告は少なく,できたとしても再現できないことも多い.今回も,いくつかの先行研究を参考に行ったが,再現できなかった.培養皿のコーティングや培地成分の検討を行う必要があると考えられる. 一方,生体内において機能を発揮するために,電気的シグナルが重要な細胞として神経がある.マウス骨髄細胞(MSCsを含むとされる)から神経に分化誘導できることが知られている.我々は,マウス骨髄細胞からの神経分化誘導時に,電気刺激を併用する研究を行ったところ,神経への分化誘導効率が向上する結果が得られた.したがって,MSCsから筋へ分化誘導できる条件が確立できれば,電気刺激を併用することで,高率に筋へ分化誘導,分化促進できると推察される.
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