研究概要 |
平成21年度は,以下のような研究を行った。 まず,アメリカで教師研修にも貢献している、科学教育に特化した学校(ノースカロライナ科学高校とコネティカットの私立小中学校のタルコット科学アカデミー)について,資料を整理して発表した。そして,小学校教員を志望する理系大学生を対象に,質問紙調査にて,彼/彼女らの科学才能に関する調査を行い,その才能モデルを分析した。同時に,愛媛県内で愛媛県児童生徒理科研究作品集録から県知事賞等を受賞した児童・生徒を指導した小中学校理科教員,学生科学賞及び科学の芽賞等の科学コンテスト受賞児童・生徒を指導する東京都の理科教員についてインタビュー調査を行い,そうした理科教員のモデルを構築した。高等学校段階についても理科領域の科学コンテスト受賞者を継続して輩出している高等学校の担当理科教員を対象とし,才能を育てる指導観に関する質的分析を行い,構造化を試みた。 より質的なアプローチとして,愛媛県内の理科指導で実績を残しているベテラン教員二人と対象群として理科指導経験の少ない中堅教員1名を対象に、ライフヒストリー研究を行った。そしてアクティブ・インタビューにより生成したドキュメント資料をもとに、ナラティブモードの分析を行った。その成果として、「才能」をめぐる解釈実践が我が国で達成し難い社会的背景には、「才能」を構築する「手続き」の不在があることを明らかとなった。 そうした成果を生かしながら,優れた理科教員の教育力伸長のため、より多くの知識と技術の獲得とそれらの応用を目指す研修教材が開発された。
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