研究課題/領域番号 |
20651038
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
マイクロ・ナノデバイス
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
平塚 祐一 北陸先端科学技術大学院大学, マテリアルサイエンス研究科, 講師 (10431818)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 800千円 (直接経費: 800千円)
2008年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | マイクロマシ / ナノバイオ / 分子モーター / 生体分子 / マイクロナノデバイス / マイクロマシン / マイクロ・ナノデバイス |
研究概要 |
本研究の目的は、モーター蛋白質の運動能を利用した魚類の色素細胞様の人工細胞を構築、生体分子で駆動する光学素子(ディスプレイ)を開発し、モーター蛋白質の応用研究の新展開を図ることである。ある種の魚類では体表を周囲の環境に応じ保護色化する。これは体表に存在する色素細胞(メラノフォア)内の色素顆粒が分散または凝縮することにより変化が生じている。メラノフォアには繊維状蛋白質である微小管が細胞の中心から放射線状に配置化されており(アスター構造)、色素顆粒がモーター蛋白質により微小管に沿って細胞中心または細胞周辺に運搬されることで凝集または拡散が起こり、その結果、見かけ上表面色が白または黒に変化する。本研究ではこのナノシステムを人工環境下に構築し、モーター蛋白質で駆動する光学素子を開発する。 昨年度は、本研究の要素技術の一つ極性の揃った微小管アスターを微細加工技術とモータータンパク質技術を融合させガラス基板上にグリッド状に構築することに成功させた。本年度は、このアスター微小管上で色素顆粒をモータータンパク質により運搬させたメラノフォア様システムを人工環境下に構築すること取り組んだ。モータータンパク質として緑藻類・クラミドモナスの鞭毛から単離した鞭毛ダイニンを利用した。ガラス基板上に作成したアスター微小管上に色素顆粒を付加したダイニンとcagedATPを添加したところ、色素顆粒はアスター微小管全域に均一に分布し結合した。その後UVを照射しATPを放出させダイニンの運動を活性化すると、色素顆粒がダイニンの運動作用によりアスター中央に運搬され、マイクロチャンバの色変化を作り出すことに成功した。これは分子素子により駆動する微小機械といえ、ここまで複雑な人工的なナノシステムの構築例は世界的に見ても少ない。こうした分子レベルから構成される微小機械は今後のマイクロマシン技術の発展に大きく寄与すると期待している。
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