研究概要 |
近年注目されているタンパク質間相互作用制御化合物の探索においては,標的相互作用を選択的に阻害して類似相互作用には影響を及ぼさない高い選択性(特異性)の確保が不可欠であり,高選択性を保証するスクリーニング系とin vivoでの選択性を定量的に評価する系が求められている。そこで本研究では,下記の2点につき検討を行った。 (1)標的相互作用と対照相互作用を同一細胞でアッセイする独自の並列2ハイブリッド法を用いて,高選択性相互作用制御化合物をスクリーニングする系の構築を目指している。その第一歩として,ペプチドアプタマーのスクリーニングを行ない、昨年度までに,Cdc42に結合してその相互作用を阻害するアプタマーの単離に成功して、この手法の有効性を示した。その成果を踏まえて、今年度は更にスクリーニングを拡大するとともに、得られたペプチドアプタマーの性格付けを進めた。興味深いことにCdc42変異アレル特異的な結合を示すアプタマーも得られており、疾患の原因となる変異アレルの産物のみを阻害するような高特異性相互作用阻害剤単離の可能性が示唆された。 (2)定量対象ペプチドを連結した人工タンパク質(Peptide-Concatenated Standard ; PCS)を標準物質とする独自の定量プロテオミクス技術(PCS-MS)を用いて,相互作用制御活性のin vivo評価系を構築することを目指している。そのための基盤として,昨年度に引き続きPCS用ペプチドの選定法に検討を加えて一定の選定法を確立した。実際にこれを用いて各種PCSの設計を進め、それらを階層的に用いる手法の開発にも成功した。
|