• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 前のページに戻る

文学と教会美術:コクトーの壁画とステンドグラスをめぐって

研究課題

研究課題/領域番号 20652025
研究種目

挑戦的萌芽研究

配分区分補助金
研究分野 ヨーロッパ文学(英文学を除く)
研究機関福井大学

研究代表者

松田 和之  福井大学, 教育地域科学部, 教授 (50239026)

研究期間 (年度) 2008 – 2010
研究課題ステータス 完了 (2009年度)
配分額 *注記
1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2009年度: 100千円 (直接経費: 100千円)
2008年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
キーワードコクトー / 壁画 / ステンドグラス / 仏文学 / 教会美術 / マグダラのマリア / テンプル騎士団 / フランス / 美術史
研究概要

前年度に現地で撮影した写真やスケッチ、調査メモ等の記録をもとに、フランス国内の教会・礼拝堂内にコクトーが残した壁画やステンドグラスの各々に関して綿密な分析を加えた結果、イカロスを思わせる天使像など、予想どおりヘブライズム的な要素とヘレニズム的な要素の混淆がそこには認められ、壮年期のコクトーの文学作品より読み取れる独自の世界観が晩年の教会美術作品にも反映されていることを確認できたが、加えて、より注目に値する予想外の発見があった。二つの異端的な性格を秘めたモチーフ、具体的に言えば、マグダラのマリアのモチーフとテンプル騎士団のモチーフが、慎重にカムフラージュを施されながら、一連の教会美術作品の中に盛り込まれていたのである。
こうしたモチーフをカトリックの礼拝堂の内部に描きこむ行為は、安易な気持ちでできるものではなく、コクトーの反カトリック的な宗教観が確固たるものであったことを物語っている。従来、その重要性にもかかわらず、彼の宗教観(カトリック観)について掘り下げて考察されることは少なかった。それだけに、今回の発見を端緒としてコクトーの文学と芸術の本質を正統と異端の観点より照らし出すことができれば、本研究は充分に意義のあるものとなるだろう。
コクトーが残した教会美術作品の中でも、とりわけ最後の作品となったフレジュスの通称「コクトー礼拝堂」は、円形で天井から光を取り入れる仕組みになっており、南仏にあるマチスやピカソが装飾を手掛けた礼拝堂や同時代の日本に残されたヴォーリズの教会建築等に見られるそれぞれに個性的な意匠と比較しても、その様式上の特異性には際立ったものがある。ともすれば等閑視されがちな「コクトー礼拝堂」の存在意義を改めて確認できたのも、本年度の研究成果と言えるだろう。今後とも引き続き考察を深め、その特殊な形状にこめられた意味を探ってみたい。

報告書

(2件)
  • 2009 実績報告書
  • 2008 実績報告書
  • 研究成果

    (1件)

すべて 2010

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件)

  • [雑誌論文] サン=ピエール礼拝堂の壁画に関する一考察―「魚形の日をした後陣の大きな顔」をめぐって―2010

    • 著者名/発表者名
      松田和之
    • 雑誌名

      GALLIA 第49号

      ページ: 4-50

    • 関連する報告書
      2009 実績報告書
    • 査読あり

URL: 

公開日: 2008-04-01   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi