本研究は、「水俣病」の発生によって、水銀のもつ有毒性について世界の目を開かせた国であるわが国が、国境を越える汚染が問題となっている現在の水銀問題入の対策に関して、世界で主導的な役割を果たしている北欧諸国等と協力して問題に取り組むことができるように、先行する取組を調査した上で、わが国における様々な水銀をめぐる法令等の規定を整理し、水銀を可能な限り身の周りから除去するための取組のあり方を探ろうとするものである。平成21年度には、米国大統領に就任したオバマ氏による環境問題への方針転換に伴う影響の流動的状況からその前年度にも調査の実施を延期した北欧諸国等でのヒアリング調査を行う予定であった。しかしながら、ウプサラ大学地球科学教室のLars Hylander准教授との意見交換において、平成20年度に収集・整理したわが国における水銀の使用状況や、水銀に係る法規定等の資料をまとめ、併せて平成21年7月に成立した「水俣病被害者の救済及び水俣病問題の解決に関する特別措置法」の具体的な内容等についての情報提供を行うことも重要であると示唆されたため、わが国における水俣病に関する研究の進展の成果も含めて、当該特別措置法の措置の具体化の進展状況をみつつ、資料をまとめ報告可能となるように総括を行った。
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