研究課題/領域番号 |
20653021
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
経営学
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
涌田 幸宏 名古屋大学, 大学院・環境学研究科, 准教授 (30255020)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,800千円 (直接経費: 2,800千円)
2009年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
2008年度: 1,400千円 (直接経費: 1,400千円)
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キーワード | 伝統産業 / 革新 / 新制度派組織論 / 組織フイールド / 古民家再生 / 制度理論 / 組織フィールド / イノベーション / 制度化 |
研究概要 |
本研究は、伝統産業、とりわけ伝統的な木造建築産業において、イノベーションがいかに生成され普及していくのかについて、新制度派組織論の視点から考察するものである。事例としては、伝統的形式を維持しながら現代的な価値を入れ込んで再生を行うという「古民家再生」という革新的実践に焦点を当て、組織フィールドがどのように形成され、変容していったのかをアンケート調査および関係者等へのインタビュー調査を用いて分析を行った。これまでの新制度派組織論におけるイノベーションの普及研究は、組織フィールドにおける制度的圧力の形成による「組織同型化」という文脈で語られていた。しかしながら、このアプローチには3つの課題があることが見いだされた。第一に、組織フィールドは与件とされていたが、実際にはイノベーションに関連するアクターは普及過程において事後的に出現し発見されることである。第二は、組織フィールドの構造化のあり方をあまり考慮していないことである。共通の市場や技術をめぐって構造化されるのか、イシューをめぐって構造化されるのかによって、イノベーション普及が変わってくると考えられる。そして第3は、同型化という視点では普及過程における変容を説明できないという点である。本研究では、古民家再生の組織フィールドが伝統的技術の継承ではなく、住文化の継承というイシューによって構造化されたことによって、これまでとは異質なアクターが参入し再生の意義を高めたこと、これらのアクターは個々に直面する支配的ロジックへの対抗手段としてイノベーションを利用するという意図があったこと、普及するにつれてバリエーションが発生したことが見いだされた。本研究は、新制度派組織論への理論的発展に貢献するとともに、外部アクターの発見と支配的ロジックへの注目という点で、実践的示唆を得たことに意義がある。
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