研究課題
挑戦的萌芽研究
本年度は、昨年度に実施した「職場での動機づけを高めた体験」に関する調査結果と一般的な職業発達のプロセスとを勘案し、動機づけを高める体験のプロセスモデルを考案した。モデルでは、入社間もない不慣れな時期には「ソーシャル・サポート」が有効であり、仕事を覚える時期には「職務上での達成」「パフォーマンスへの評価」が動機づけを高め、自律的に仕事をこなせる時期では「職務の役割理解」「職務の自覚」が動機づけを向上させることが想定された。これらの体験がどの程度動機づけを向上させる効果を持つのかについて、各体験に3つずつの具体的な状況を設定し、正社員および派遣・契約社員で就業3年以内200名、4年以上200名、アルバイト・パート200名についてネット調査を実施した。その結果、15体験のうち9験において動機づけを高める傾向が認められた。また、類似体験のある者とない者では、15体験中14体験で類似体験のある者の方が有意に動機づけを高めるとしていた。しかし、この調査では体験内容を感動体験とせず一般化したため、動機づけ向上効果があまり強くなかった。これらをより感動的な体験とするために必要な要素を見出すため、自由記述による回答について分析を試みた。その結果、全体的に共通する事項、雇用形態での違い、勤務年数での違いなどが示された。例えば、上司や先輩から何を認められたときに動機づけが高まるかでは、概して「仕事ぶり・働きぶり」が全体的に多く、アルバイト・パートでは職務内容の性質のためか「仕事の素早さ・丁寧さ・確実さ」が、社員では「仕事・課題の達成」が、就職3年以内では「認められた(褒められた・感謝された)」がそれぞれ多かった。以上のような結果から、動機づけを高める体験内容については、対象者の属性や職務内容を考慮し、より感動的なものとする事項を加味することの重要性が示唆ざれた。
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Discussion Paper Series, The Management Society of Hiroshima University 2009-12
ページ: 1-8
Discussion Paper Series, The Management Society of Hiroshima University 2009-15
ページ: 1-10