研究課題/領域番号 |
20653039
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
社会心理学
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研究機関 | 淑徳大学 |
研究代表者 |
神 信人 淑徳大学, 総合福祉学部, 教授 (30296298)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,100千円 (直接経費: 3,100千円)
2010年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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キーワード | 相互依存性 / 利他行動 / 返報行動 / 信頼 / 対人魅力 / 社会的ジレンマ / シミュレーション / 評判 / 囚人のジレンマ |
研究概要 |
平成22年度は1)実験室実験、2)コンピュータシミュレーションを行い、その上で総合考察を試みた。 1)非露見状況における非協力行動に対する対人感情に関する実験室実験 裏切りを選んでもそれが相手に露見しない(と思っていた)場合の行動が露見した場合、その行為者にどのような対人感情が向けられるのかを、囚人のジレンマ状況を用いた実験により検討した。同様の実験は21年度にも行ったが、そこでは仮説が部分的にしか検証されなかったため、状況を改善した上で再度実施した。実験の結果から、裏切りが露見する時には常に協力するが、裏切りが露見しない(と思っている)状況での行動が不明の人に比べて、裏切りが露見しない状況でも裏切らなかったことが判明した人は、相手との社会的不確実性(=相互依存度)を選択できる関係のパートナーとして選ばれやすくなることが検証された。 2)非合理的対人感情特性の進化的シミュレーション研究 21年度に開発した、複数のプレイヤーが対戦相手の選択並びにその相手との関係の依存度選択を行いながら囚人のジレンマをプレイする社会状況のシミュレーションを用いて、非合理的利他行動が進化するメカニズムのさらなる検証を行った。その結果、相手との相互依存度が選択できることは利他行動の進化を確かに促進するものの、それのみでは効果はさほど大きくなく、さらに各個体の利他性情報が評判によって流布することの重要性が示唆された。 これまでの研究から、1.人間には、見返りが期待できない場合にも協力する人に肯定的感情を向ける傾向があること、2.その傾向は、相手との相互依存度を選択できる状況で特に顕著に示されること、さらに、3.相互依存度が選択できると同時に、他者の利他性(あるいは合理性)が評判によって伝わる場合、非合理的な利他的傾向がより適応的になりうることが明らかになった。
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