研究概要 |
本年度は,「アクセプタンス&コミットメント・セラピー」(Acceptance&Commitment Therapy ; ACT)の方法論(Hayes, Bond, Barnes-Holmes, & Austin, 2006)を基礎として,教師の<エンジョイ・イン>モデルの洗練化を実施していった。前年度までに,多大なストレスを抱えて生活している日本人留学生を対象に試作モデルを構築してきたため,本年度は,学校特有の問題点や職業人固有の問題点に焦点を当てながら,〈エンジョイ・イン〉の修正を行う必要があった。具体的には,1)本格的なアクション・リサーチ実施に向けてフィールドとなる学校を複数選定していく作業を行い,2)実際のアクション・リサーチを実施していき,3)当該のアクション・リサーチの実施困難性も含めながら,<エンジョイ・イン>モデルを修正した。その結果,教師という職業における「具体的で前進的な価値の明確化」だけでなく,職業以外の生活場面での「具体的で前進的な価値の明確化」が脆弱であることが示唆された。この点は,予備研究との知見とは大きく異なる点であった。また,この結果は,モデル構築において,より対象者の生活全体を視野に入れたアセスメントが必要であるも含意されていると考えられた。研究成果は,前年度までに実施していた予備研究(ストレスを抱える日本人留学生を対象にした<エンジョイ・イン>試作モデルの具体化)をBehavior Therapyという学術雑誌に投稿し,受理・掲載された(2011年3月)。
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