配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2010年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
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研究概要 |
グロモフ双曲空間に作用する等長変換からなる離散群について,等長変換による共役で与えられる自己単射準同型に関するco-Hopf問題を考えた.co-Hopf問題とは自己単射準同型が全射となる条件をさがす問題である.昨年度以来,quasiconvex cocompact群に対しては,共役で与えられる自己単射準同型が全射となることを示す議論を得ていたが,今年度はその細部を精査し,論文にまとめ,講演として発表することができた.また,古典的双曲空間のクライン群の場合はより広く発散型の群に対して成立するので,グロモフ双曲空間でもそれを目標とした.そのために解決するべき問題は,擬等角不変測度の一意性の適切な定式化にあることが解明できた. 写像類群の極限集合の孤立点とBurnside問題については,写像類群の固定点集合のある性質を仮定すれば孤立点の存在が証明できるところまではわかった.写像類群は位相的無限型のリーマン面のに対してはタイヒミュラー空間には不連続に作用するとは限らず,極限集合がタイヒミュラー空間内に定義される.多くの場合は極限集合は完全集合となる.しかし,写像類群の部分群としてリーマン面の等角自己同型群を考えると,極限集合が孤立点をもつためには,それは無限群であるがすべての真部分群が有限群であるような群を指数有限に含む必要があることがわかる.このような有限生成群はBurnside問題として研究されperiodic groupとよばれている.楕円モジュラー群の主合同部分群の剰余類群としてperiodic groupを実現すれば,対応するリーマン面の等角自己同型群としてそれはあらわれる.写像類群の非自明な元の固定点集合全体が閉集合であることを仮定すれば,このようなタイヒミュラー空間に対して写像類群の極限集合が孤立点をもつことが証明できた.
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