研究概要 |
昨年度にひきつづき,ベローズ式気圧センサーの基礎的な性能の試験と技術開発を行った. ベローズは,その構造上,上下方向に吊った一種のスプリングとしての挙動を示すと考えられ,そのことが気圧センサーとしての性能に影響を与える可能性が懸念された.そこで,スーパーウーファーを使用してベローズに人工的に圧力変化を印加することにより,周波数特性を測定した.その結果,使用したベローズの機械的な固有振動数はおよそ80Hzであり,したがって測定帯域の上限は50Hz程度となることがわかった.このことは,DCからインフラサウンドまでを想定したアプリケーションにとっては重大な障害とならないが,ベローズのサイズや構造などによっても違ってくるので,高い周波数帯域で使おうとする場合には,設計上留意しておく必要がある. ベローズ式気圧センサーの一連のテストを通じて,位置検出センサーとして使用している差動トランスの線形性に疑問が生じたため,ほかの種類の位置検出センサーを検討する必要が生じた.そこで,東京大学より光位置センサーを借用し,動作テストを行った.その結果,ベローズとの圧力感度が2倍程度異なること,および,長期的なドリフトが見られることがわかった.前者の原因は不明である.後者はベローズのマウント法の問題か,あるいは温度変化の影響かと考えられたが,テスト環境を整えることが困難なため,切り分けすることができなかった. 以上のような基礎的な試験と並行して,ベローズに位置センサーを内蔵した気圧計のデザインの検討をすすめた.時間およびメーカー側の人手の不足により,試作機を製作するところまで進捗しなかったことは残念であるが,Martec社のMB2000シリーズに代表されるベローズ式気圧センサーの,今後の開発の可能性・方向性を確認することはできたと考えている.
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