研究概要 |
変成温度圧力履歴の精密解析が進んでいる東南極リュッツホルム岩体において,西オングル島のペグマタイトに含まれる石英中のFe^<3+>固溶量を測定している過程で,磁鉄鉱巨晶からヘグボマイト+スピネル,スピネル+石英,スピネル+石英+ヘグボマイト,珪線石+コランダムの包有物を見出した.また,磁鉄鉱とイルメナイトの結晶境界にはスピネル+ヘグボマイト+コランダム+ルチルが二次的に析出しているのを見出した.今回発見されたヘグボマイトは南極大陸では3例目であり,2n2Sタイプのフェロヘグボマイトであることが明らかになった.マグネタイトに包有された珪線石とコランダムは著しくFe^<3+>に富んでおり(珪線石で0.6-3.5wt%:コランダムで1.3-4.5wt%),高酸素分圧下で生成されたことを示唆する.また,ルチルやイルメナイトはヘマタイトのラメラ包有することや,Buddington and Lindsley (1964)の実験結果を応用すると,ペグマタイトが貫入した後で,600℃以下,P_<H2O><P_<Total>条件でヘグボマイトが生成したと考えられる.
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