研究概要 |
らせん構造の左右性の磁場制御を行うために,磁気異方性の大きい鋳型分子を添加して磁場印加し,メソポーラスシリカ前駆体(有機/無機ハイブリッド)を合成した。ヘリックス構造を振動分光とX線回折とによって検出する方法を検討した。左右性をこれらの方法で有為に区別することは検出できなかった。静磁場中で調製したヘリカルシリカのSEM観察から,6T以下では昨年度の結果と同様に左巻きと右巻きのシリカハイブリッドの量に有為な差はみられなかった。強磁場によって有為に右巻きらせんが増加したという昨年度の最も重要な結果を検討するために速度論的検討を行った。調製時間毎にサンプリングして長時間生成物の構造やモルフォロジーを観測したが,左右性の偏りを強く主張できる結論を得るには至らず,継続して検討が必要である。磁場印加によって,ヘリカルシリカが長く,細く成長することは追試できた。膜面に垂直磁場配向したラセミ体の膜内フラストレーションによる左右性制御を検証するために,テトラエトキシシラン/界面活性剤/添加物水溶液から沈殿するヘリカルハイブリッド表面を観測し,どのようにヘリックスが成長するかを,超伝導マグネット中でマイクロスコープ/ビデオカメラシステムによって観測し,ロッドが成長したあと捩れが発生することは確かめることができた。膜面に垂直に磁場を印加するとロッドは垂直配向したが,ロッドの融合は観測されず,「融合に伴うフラストレーションを通じての左右性の制御」という仮説は検証できなかった。
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