研究課題/領域番号 |
20655003
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
物理化学
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
中野 雅由 大阪大学, 大学院・基礎工学研究科, 教授 (80252568)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2010年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2009年度: 600千円 (直接経費: 600千円)
2008年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 量子ダイナミクス / 量子マスター方程式 / 分子集合体 / エキシトン / 円偏光 / デンドリマー / 分極 / エネルギー移動 |
研究概要 |
本年度は、動的な外場に対するエキシトンダイナミクスの開殻分子系への拡張を行った。エキシトン描像の抽出は閉殻系の場合と同様で分極率密度を電子とホールの寄与に分割することにより行った。開殻分子系の励起状態はスピン非制限法の一電子励起CI(CIS)や時間依存密度汎関数理論/Tamm-Dancoff近似(TDA)に基づいて算出した。まず、開殻分子系の励起状態の計算値の信頼性を確認するために、様々なジラジカル因子を取り得る1,3-dipole系を取り上げ、その第一励起エネルギー、遷移モーメントを高精度計算であるEOMCC法の結果と比較検討した。時間依存密度汎関数法の結果は、汎関数としてHartree-Fock(HF)の交換項を加えるハイブリッド型を検討したが、励起状態の諸物性量はこのHF交換項の割合に対して大きな依存性を示した。結果としては50%程度のHF交換項を加えたUBHandHLYP汎関数を用いた結果がEOMCCの結果を比較的良く再現した。また、量子マスター方程式法に接続し、その時間依存分極のフーリエ変換を用いて動的分極率を求め、その軌道遷移の寄与を解明したところ、スピン分極の起源であるHOMO-LUMOに起因する寄与が主寄与であった。また、奇電子密度および奇電子数の時間変化を自然軌道の寄与に分解する方法を提案した。この方法は、時間依存外場存在下での開殻分子系の奇電子数分布や奇電子密度の時空間ダイナミクスの解明に有用である。大サイズの実在分子系や集合体におけるエネルギー移動等を検討するため、現在、モンテカルロ波動関数(MCWF)法との接続を行っている。開殻分子系への拡張及び自然軌道への分割ダイナミクスの定式化など新しい成果が得られたため、実際のMCWF計算の結果を得るまでには至らなかったが、新たに得られたエキシトンダイナミクスの量子マスター方程式法からMCWF法へ展開は容易である。今後、いくつかの実在系への適用の結果をもとに、これらの方法の実用性、問題点を明らかにし、さらなる研究の展開を行っていく。
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