研究概要 |
昨年度構成した,時間・空間領域の完全保存形差分スキームと陰的非分離型解法を基にした絶対安定性を有する乱流DNSの計算アルゴリズムについて,本年度は検証計算を実施した.まず,平板チャネル乱流のDNSにおいて時間刻み幅を変化させて数値計算を実施し,完全離散式の完全保存形差分スキームを使用すれば非線形連立方程式の解が収束する限り大きな時間刻み幅による計算が安定に実施可能であることを示し,計算アルゴリズムの絶対安定性を示した.ただし,乱流統計量をより正確に再現するには,時間刻み幅をコルモゴロフ時間スケール以下に設定する必要があることも示した.さらに,数値的な時間刻み幅の制限が物理的な制限よりも厳しくなる例としてバックステップ乱流のDNSを取り上げ,このような場合には特に,本研究で提案された計算アルゴリズムが有効である事を示した.これらの成果は「完全保存形差分スキームとJFNK法による非圧縮性流れの非分離解法」として日本機械学会論文集(B編)に掲載されている. 以上は非圧縮性流れに対する絶対安定性を有する計算アルゴリズムの構成であるが,さらに圧縮性流れや移動格子への拡張についても検討した.これら関連する研究成果は,日本機械学会論文集(B編)とJournal of Computational Physicsに掲載され,また日本流体力学会年会2009,日本機械学会流体工学部門講演会,第23回数値流体力学シンポジウムでも講演発表を行っている.
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