研究概要 |
本年度は,昨年度の研究成果を踏まえて,改良型インバータの製作と評価,および並列大容量化に向けた検討を行った。 (1) 相甫形共振ゲート駆動回路の改良 昨年度製作した相補形共振ゲート駆動回路は駆動損失の低減効果は確認できたが,13MHz帯域の高周波動作に若干の不安定現象が見られた。その原因は,駆動回路の初段ドライブに使用する論理ICのスイッチング速度が低いことが判明したので,高速型ドライバを並列接続する方式に変更した。 (2) 一体構造インバータ(二次試作)の製作 昨年度製作したインバータ基板は両面基板を用いたが,部品実装を行うと配線パターンの断面積の減少と配線長が長くなるため,スイッチングデバイスのサージ過電圧と温度上昇が問題となった。そこで,最近開発された放熱性に優れた電力用多層プリント基板を用いて,配線パターンの最短化と放熱性を改善した二次試作インバータを製作した。また,製作した配線基板上の微少インダクタンス成分をTDR法で計測する新たな手法を開発し,配線インダクタンスの低減化設計の高度化を実現した。さらに,分布定数形V/I変換要素である5D-2V形同軸線の損失が大きい点の改善策として,ポリイミド母材フレキシブル配線材の両面に厚膜銅箔を接着した並行平板形分布定数線路を試作した。研究期間内では効率評価に至らなかったが,効率が改善するものと期待している。今後も自主的な研究を継続して成果を出す予定である。 (3) これまでの研究成果を取り纏めてH22年度中に研究成果論文の発表を行う予定である。
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