研究概要 |
本課題研究では,スパイク信号を介して生体の神経細胞と人工のニューロン回路が相互通信を行い,高度な情報処理を行うシステムの開発を目指し,生体から得られるスパイク信号を模倣可能なスパイキングニューロン回路の実現と,神経ダイナミクスのオンチップ同定学習システムの構築をことを目的としている.特に,生体の複雑な信号に対応するために,高次元スパイキングニューロン回路の研究を進めている.将来的には,生体の神経細胞が呈するスパイク信号を模倣する人工ニューロン回路が,生体との相互通信を行う.本研究で開発する高次元スパイキングニューロン回路は,生体から取り出されるスパイク信号のみによって学習され,自動的に神経細胞のダイナミクス同定を行うことを目指している. これに対して本年度は,学習のための実信号の分類や前処理のための最適化手法として新しい郡知能を利用した手法を提案してその効果を示した.また,その最適化手法によって学習可能な簡素なニューロンモデルを提案し,実装に適したスイッチング素子と電流源を基本素子とする回路合成を行い,その回路実験による検証によって有効性を示した.さらに学習機構に適した制御手法を実装して回路実験を進め,安定性やロバスト性に関する理論的見地を得た.
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