研究概要 |
本研究では,利用可能性のある経路群をまず出発地において戦略的に選択し,その後近くへ到達した時点で交通状況を認識し,結果として経路選択確率が変化することを確率事象としてとらえる方法論の構築をめざした.最小所要時間経路が確率的に変化することを認め,その元での期待所要時間を最短とする経路群(hyperpath)をドライバーは選択しているとする.そして,目の前の交通状況や信号現示に応じてhyperpath内のひとつの経路が結果として利用されるものとして信号制御の影響を考慮した経路選択行動のモデル化を行った.さらに,期待所要時間が最短のhyperpathに混雑効果を考慮して利用者均衡状態を定義し,求解アルゴリズムの開発を行った.具体的な成果は以下の通りである. (1)期待所要時間最小hyperpath探索モデルにおける混雑効果の検討 期待所要時間最小hyperpathの概念における混雑効果の導入方法について検討を加え,交通量に依存してリンク所要時間が増加することを混雑効果として定式化した. (2)戦路・戦術的経路選択行動を内包した利用者均衡モデルの構築と求解アルゴリズム検討 混雑効果によって期待所要時間を最小化するhyperpathの所要時間が増加すると仮定することで,利用者均衡状態が成立する.このような利用者均衡状態について,等価な数理問題の構築を行うとともに,解の一意性,利用者均衡状態の成立条件などについて検討を加えた.また,求解アルゴリズムについて検討し,逐次平均法を用いることで,想定した均衡条件を満たす結果を得ることを確認した. (3)戦略・戦術的経路選択行動の交通流シミュレーショーンへの適用可能性検討 戦術戦略的考え方をミクロ交通流シミュレーションモデルへ適用する可能性および課題について,検討を加えた.
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