研究課題
挑戦的萌芽研究
本研究では、有機フッ素化合物類PFCsを対象に、(1)2009年9月24日、25日のフッ素化学工場廃水処理工程における挙動調査、(2)2009年11月26日の琵琶湖流入河川野洲川流域の産業廃水および河川水調査、(3)2010年3月3日の琵琶湖・淀川流域水質水量調査を行い、フッ素化学工場、プラスティック加工工場、繊維工場、半導体洗浄機器製造工場、下水処理場等の種々の産業廃水を対象にPFCsの構成比を詳細調査し、各種構成比と下流水域中での構成比を比較検討することでその関連性を議論した。その結果、以下の新たな知見を得た。1.河川におけるPFCsの存在形態の検討では、琵琶湖流入河川の5河川からPFCsが検出され、平均濃度が63ng/L、最高濃度が野洲川河口で120ng/Lであった。また、炭素鎖が長いPFCsほど懸濁態として存在している傾向が見られた。2.河川水質に及ぼす産業廃水の影響に関する検討では、本流の上流域でPFCsは検出されず、支流の杣川から野洲川へPFCsが負荷していた。産業廃水からPFCsが検出され、PFOAの最高濃度は190ng/Lであり、河川より3倍以上高い濃度であった。また、河川と産業廃水のPFCs構成に類似性が示され、産業廃水による影響が示された。3.産業廃水処理工程におけるPFCsの存在実態の検討では、溶存態PFCsが高濃度で検出された。処理工程の中で生物処理において高濃度のPFCsが検出され、続く粉末活性炭処理で濃度が減少し、溶存態PFOAは生物処理で約50,000ng/L、粉末活性炭処理で約5,000ng/Lであった。そして、活性炭処理以降の処理で濃度は低下せず、高濃度のPFCsが含まれたまま放流されていた。以上より、PFCsの排出源推定のためには、炭素数の異なる同様の化合物類を同時に分析することで、排出源の推定が可能であることを示した。つまり、PFCs排出源により排出するPFCsの構成に特徴があり、業態別に異なることが分かった。
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