研究課題/領域番号 |
20656112
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
構造・機能材料
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
伊藤 和博 京都大学, 工学研究科, 准教授 (60303856)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,600千円 (直接経費: 3,600千円)
2009年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
2008年度: 2,400千円 (直接経費: 2,400千円)
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キーワード | GaN / 金属バッファ / 導電性基板 / 酸溶解 / 金属バッファ層 |
研究概要 |
青色LEDの電力効率を改善するには、現状の横型構造から縦型構造に変える必要がある。横型構造を強いられる原因は、絶縁性のサファイア基板とAlNバッファ層上でしかデバイスに必要な特性を持つGaN層が成長できないためである。本研究の目的は、GaN成長に必要な導電性基板とバッファ層を開発することである。導電性基板として安価なSiを、金属バッファ層としてこれまで知見のあるTiNを用い、最適プロセス条件の探索とその機構の理解を検討した。 BHFにより水素終端化したn型Si(111)基板の上に、反応性スパッタ法を用いてTiN膜を成膜した。成膜前の基板上にプラズマダメージなどによる数nm厚の酸化膜が形成されない条件を水滴接触角測定とXPSにより確認した後、成膜雰囲気、基板温度、ターゲットに与える運動エネルギーを変化させ、TiNバッファ層を成膜した。その後、TiNバッファ層上にMOCVD法によりGaNを成膜した。GaNの成膜は、(1)約1100℃の高温で、(2)TiNバッファ層上に約500℃の低温で数十nmのGaN層を成膜後(低温GaN層)(1)と同条件で、の二種類の成膜条件で検討した。得られた試料について、XRDを用いたTiN及びGaN膜の2軸配向性の分析及びSEMを用いたGaN膜の表面観察を行った。サファイア基板のみを用いた時のように、(1)の条件ではGaN層が成長しなかった。(2)の条件では、最適化したTiNバッファ層の成膜条件においてGaNの成膜に成功した。得られたSi/TiN/GaN試料に対してXRD分析を行った結果、2軸配向したGaN膜が得られた。Si基板、TiNバッファ層、GaN膜の方位関係は(111)[110]Si//(111)[110]TiN//(0001)[1120]GaNであった。しかし、SEMによる表面観察ではGaN膜の表面は平坦ではなく、大小のGaN島からなる三次元成長の様子を示していた。この原因の一つとして、TiNバッファ層の(111)回折ピークの半値幅が約2.5°と、サファイア基板上のもの(約0.5°)より悪いことが考えられる。Si基板上でのTiNバッファ層の配向性向上には、成膜時の基板温度をより高くする必要がある(スパッタ装置の改良が必須)。
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