研究概要 |
アブラムシ類は, 春から夏にかけて単為生殖を行い, メス個体のみを産生するのに対し, 越冬直前には有性生殖を行う. この際, 低温・短日条件に反応したメス個体は単為生殖により雄の個体を産む. オスになる初期胚では, 性染色体の放出が起こり, 結果的にXO型になることでオスの核型が決定されることが知られる. さらにオスはXO型であるため, 精子を作る際にX染色体を持たない精子はすべて退縮する. 本研究ではこの現象のメカニズムを探るべく研究を進めており, 本年度は下記の成果が得られた. エンドウヒゲナガアブラムシAcyrthosiphon pisumおよびソラマメヒゲナガアブラムシMegoura crr asicaudaにおいて, 環境要因を操作することにより効率よく有性生殖世代を誘導する飼育実験系を, 人工気象機などの導入などにより完壁に構築することに成功した. そして, 産子スケジュールに関して極めて多くの知見を得ることに成功した. また, オス産性の染色体放出の過程に関して, 抗体および蛍光マーカーそして, 共焦点顕微鏡を併用した観察を行い, 効率よく観察が行える実験系を確立した. 同様に精子形成に関しても, 観察方法が確立したため, 次年度からは効率よくデータ収集と解析が行えることが期待される. 更にフローサイトメトリーによる雌雄判別の方法や, オス個体の翅多型についての知見など, 本計画に付随する成果が様々に得られ, それらもあわせて次年度の研究計画につなげる予定である.
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