研究概要 |
1.ニホンザルに寄生して吸血するサルジラミPedicinus obtususについて中腸胃部後半の上皮細胞内に局在するγプロテオバクテリアに属する新規な共生細菌を同定した。長野県地獄谷のニホンザル原名亜種でも、鹿児島県屋久島のヤクニホンザルでも,サルジラミは遺伝的にほぼ同一の共生細菌を保有していた。この共生細菌に暫定学名"Candidatus Puchtella pedicinophila"を提唱した。本研究成果は以下の論文として発表した。 Fukatsu et al. (2009) Intestinal endocellular symbiotic bacterium of the macaque louse Pedicinus obtusus : distinct endosymbiont origins in anthropoid primate lice and the Old World monkey louse. Appl. Environ. Microbiol. 75 : 3796-3799. 2.ヒトや家禽などに寄生して吸血するトコジラミ(南京虫)について、菌細胞に高度な局在を示す共生細菌がWolbachiaであることを明らかにした。人工飼料飼育系を用いた抗生物質処理や栄養添加処理を駆使して,この共生細菌がトコジラミの成長や繁殖に必須であること、その主要生物機能がビタミンB群の供給であることを証明した。本研究成果は以下の論文として発表した。 Hosokawa et al. (2010) Wolbachia as a bacteriocyte-associated nutritional mutualist. Proc.Natl.Acad.Sci.USA 107 : 769-774.
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