研究課題/領域番号 |
20658006
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
作物学・雑草学
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研究機関 | 福井県立大学 |
研究代表者 |
吉岡 俊人 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (10240243)
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研究分担者 |
渡邉 修 信州大学, 農学部, 准教授 (30360449)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,300千円 (直接経費: 3,300千円)
2010年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2009年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2008年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 種子死滅 / 土壌微生物 / 埋土種子集団 / 雑草植生 / 生物多様性 / コハコベ / Bacillus / PCR-DGGE / 地上植生 / 優占度 / 冬生1年草 / 生活環制御 / 生態発生進化 / 種子発芽 / 未発芽種子バーナリゼーション / バーナリゼーション遺伝子 / 発芽時ストレス耐性 |
研究概要 |
雑草植生が地域間や地域内の地点間で大きく異なることは頻繁に認められる現象である。この現象は、雑草防除が平準化できず非効率的である原因となっている一方、農業生態系における生物多様性の維持にも働いている。今後の雑草管理では、雑草防除と生物多様性保全の両立が重要である。そのためには、異なる雑草植生が成立する仕組みを明らかにする必要がある。これまでのわれわれの研究から、特定の雑草種の埋土種子が特定の土壌微生物の作用により死滅する結果、その種の発芽個体数が減少して雑草植生が規定されるという新規な生態システムの存在が示唆されている。そこで本研究では、コハコベを材料にして、雑草植生と土壌の種子死滅作用の関係を明確にすることを目的とする。北陸と近畿の96地点を調査した結果、コハコベ種子生存率とコハコベ被度の間には有意な正の相関が認められた。散布図のパターンをみると、コハコベ種子生存率が低いと必ず被度が小さくなった。つまり、コハコベ埋土種子の生存率が低い地点では、そのことが制限要因となってコハコベ被度が大きくなりえないと考えられる。また、コハコベの死滅が起きる土壌では、急速に全種子が死滅するが、死滅しない土壌では、ほぼ全ての種子が健全に保たれたことから、種子死滅のall or nothing現象を誘導する土壌因子が存在し、土壌を滅菌すると種子死滅が起きないことからその因子は土壌微生物だと結論された。DGGEによる土壌微生物相の解析結果から、コハコベ種子の死滅を引き起こす土壌微生物は、BacillusかPaenibacillusである可能性が高い。さらに、コハコベ被度とオランダミミナグサ被度に有意な負の相関があったことから、コハコベの種子死滅に関わる微生物はオランダミミナグサ種子の死滅には働かず、そのためオランダミミナグサが優占すると思われる。以上から、地点環境→環境因子→土壌微生物相→種子死滅→埋土種子相→実生個体群組成→地点植生→地域生物多様性という生態システムの存在が明らかである。
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