研究課題
挑戦的萌芽研究
FXPRLアミド・ペプチド族の一員である休眠ホルモンがカイコ体内で前胸腺刺激活性を持つかどうかを、判定するために以下の実験を行った。1.バイオアッセイ系として除脳によるカイコ永続蛹の作製:この実験に最適である中国種115と日本種122を飼育し、中国種(♀)×日本種(♂)のF1卵を確保し、蛹を得て、除脳を行った。2.永続蛹であるかどうかは、除脳した後25℃で保護し、30日以上経っても成虫発育しない蛹を永続蛹とした。3.休眠ホルモンを10nmolesから10pmolesまで投与した。陽性対照区として前胸腺刺激ホルモン(PTTH)を10nmoles投与した。対照区をして2%のBSAを投与した。4.10nmolesの休眠ホルモン投与区でも、対照区に比較し、有意な効果は認められなかった。5.休眠ホルモン受容体cDNAに対応する二本鎖RNAを作製し、非休眠卵の多核性胞胚期に注射し、休眠ホルモン受容体遺伝子のknockdownを行い、胚発育への影響を調査した。発育時期が対照区に対して遅延することは認められたが、ある発育段階で胚発育が中断されることは観察されなかった。6.以上の結果から、休眠ホルモンがカイコ生体内で前胸腺刺激活性を持つと判断するには至らなかった。改めて、蛹休眠を休眠ホルモンが覚醒させるという現象が、蛹休眠する昆虫に全て当てはまるものかどうかを再検討する必要があると考えられる。
すべて 2009
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)
Insect Biochem. Mol. Biol. 39
ページ: 342-347
Peptides 30
ページ: 1233-1240
Peptides