研究課題/領域番号 |
20658028
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
生物生産化学・生物有機化学
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研究機関 | 山形大学 |
研究代表者 |
貫名 学 山形大学, 農学部, 教授 (20113970)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2010年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2010年度: 900千円 (直接経費: 900千円)
2009年度: 1,100千円 (直接経費: 1,100千円)
2008年度: 1,200千円 (直接経費: 1,200千円)
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キーワード | エルゴチオネイン / ビタミンC / 抗酸化物質 / キノコ |
研究概要 |
1.エルゴチオネイン(ERT)は主に高速液体クロマトグラフ(HPLC)で定量的に分析できるが、ERT含量の微量な生体由来抽出液では夾雑物が大量に存在するため難しい。今回、超高性能液体クロマトグラフを連結した質量分析計(UPLC-ESI-MS)によるERTの迅速な分析について検討した。HPLCで常用しているC30を用いたUPLC用の超高圧カラムが未開発で使用できず、常用のODSではERTはフロントとほぼ同じ位置で溶出された。精密質量によるピーク検出と同定は可能であるが、定量は難しいと思われる。また水-CH3CNを用いるHILICカラムについても検討したが、使用方法が難しく十分な手法の確立には至っていない。キノコ、鳥レバー、ブタ肉、牛肉についてはERTを検出したが、穀物と野菜類のERTについては実施できなかった。今回HPLC法により新たにウシグソヒトヨタケの子実体形成過程の原基形成から柄の成長と傘の成熟過程などの諸段階のERTの定量に成功し、菌糸体や柄には少なく原基から傘の部分にERT含量が高いことがわかった。2.ERT量の細胞内での変化を老化との関係を追跡する実験は定量的な超微量定量法が確立できず実施できなかった。3.ERTの化学的性質の解明はERTのビタミン機能に関わると考えられる。これまでの研究でERTはDPPHとのラジカル反応により1:1のERT-DPPH結合体を形成し、S-N結合またはN-N結合により連結していることは分かっていたが正確な構造は不明であった。今年度詳細にMS/MS解析を行った結果、S-N結合と思われる結果が得られた。4.ERT結合性を持つ生体成分は、ERTのビタミン機能を解明する鍵と思われる。ERTを高含有するキノコのタモギタケの抽出液について再現実験を行った結果、ERTは少なくともその一部は何らかの生体分子と相互作用をしておりメルカプトエタノール(ME)処理により遊離することが確認された。また今回、動物細胞系の鳥レバーについても検討した結果ME処理によりERT量の増大が見られ、動物細胞系におけるERT結合成分解明への大きな糸口が得られた。
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