研究課題/領域番号 |
20658033
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
食品科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
清水 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (30114507)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,400千円 (直接経費: 3,400千円)
2009年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
2008年度: 1,800千円 (直接経費: 1,800千円)
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キーワード | 腸管上皮細胞 / 細胞分化 / カーボンナノチューブ / フラーレン / 安全性 / マクロファージ / カーボンナノ粒 |
研究概要 |
昨年度は、球状のフラーレンC60が腸管上皮細胞機能に及ぼす影響をin vitroモデル系で解析し、それが細胞死や炎症性サイトカイン分泌の誘導を行なうかどうかを検討したが、有意な変化を見出すことが出来なかった。そこで、本年度は、フラーレンではなくカーボンナノチューブ(CNT)を用いて、それが腸管上皮細胞に及ぼす影響を見た。 (1)単層CNT(直径0.7-1.3nm)を培地に加え、超音波処理するなどして分散させた。これを、透過性膜上で2週間培養して単層を形成させたヒト腸管上皮細胞Caco-2に0.1~1mg/mlの濃度で加え、細胞の状態をモニターした。72時間まで培養した細胞についてLDH毒性試験を行なったが、細胞に有意な傷害は認められなかった。また、細胞層の損傷あるいは何らかの変化を検出する上で鋭敏な指標である経上皮電気抵抗(TER)の値もCNT添加群と無添加群で有意な差は認められなかった。 (2)2週間培養したCaco-2細胞をTNF-αで刺激すると炎症性サイトカインであるIL-8の分泌が著しく亢進する。一方、CNTにはIL-8分泌を誘導する作用は認められなかった。 (3)Caco-2細胞は、2週間程度培養して分化させてから各種実験に供することが多いが、この2週間の培養期間中にCNTが共存するとどのような影響を見られるかを検討した。その結果、細胞単層のTER値は共存するCNTの濃度依存的に低下した。また腸管上皮細胞の機能マーカーの一つであるアルカリ性ホスファターゼの活性は、CNTが共存することによって著しく上昇が抑制された。細胞数に変化は無いことから、CNTはCaco-2細胞の分化のプロセスを阻害してしこる可能性が考えられる。
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