研究課題/領域番号 |
20658036
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
森林科学
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
津山 孝人 九州大学, 農学研究院, 助教 (10380552)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,500千円 (直接経費: 3,500千円)
2009年度: 1,300千円 (直接経費: 1,300千円)
2008年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | 光合成 / 弱光 / 耐陰性 / 電子伝達 / ストロマ還元力 / P700 / 制御 / 樹木 |
研究概要 |
遷移の過程で森林は、陽樹から成る陽樹林から陰樹林に移行する。遷移初期に陽樹が優勢となる理由は、陽樹の高い生産性、高い光合成能力にある。一方、極相林において陰樹が優勢なのは、放射照度が低い林床でも生育可能な光合成の高い耐陰性にある。すなわち、陽樹林から陰樹林への移行は、森林を構成する樹木の光合成能力の変化(耐陰性の強化)によるところが大きい。本研究では、光合成の耐陰性を明らかにするために、弱光下での光合成の制御機構を解析した。 弱光下の光合成定常状態においては、葉緑体チラコイド膜の電子伝達鎖は酸化されていることが予想される。しかし、生葉を用いた820nmにおける吸収度の測定により、弱光(PFD 50μ mol photon m^<-2>s^<-1>)照射下で光化学系1反応中心P700のおよそ30-40%が不活性な還元型にあることが明らかとなった。還元型不活性P700は非常に強い光の下で存在することは知られていたが、弱光下でも同様に出現することが分かった。その原因として、高いNADPH/NADP^+比、すなわち葉緑体ストロマにおける電子受容体の不足が示唆された。 弱光下で葉緑体ストロマの酸化還元状態に異常を示すシロイヌナズナ変異株を探索した結果、カルビンサイクル酵素のfructose-1, 6-bisphosphate aldolase(FBA)が弱光下での光合成制御に大きな役割を果たすことが示唆された。変異株fba3を用いた解析から、ストロマ酸化還元状態を反映するクロロフィル蛍光誘導変化を見出した。fba3変異株は、ストロマ還元力に着目した耐陰性の解析の新たな材料となることが期待できる。
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