研究課題/領域番号 |
20658045
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
水産学一般
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
宮崎 勝己 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 講師 (20263064)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2009
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2009年度: 1,000千円 (直接経費: 1,000千円)
2008年度: 1,500千円 (直接経費: 1,500千円)
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キーワード | ウミグモ / カイヤドリウミグモ / アサリ / 寄生 / 生活史 / 生態 / 生殖 / 漁業被害 / 節足動物 / 後胚発生 |
研究概要 |
アサリ等の二枚貝に内部寄生し、多大な漁業被害を与えているカイヤドリウミクモ(以下「ウミグモ」と略する)について、その防除や被害拡大防止を目指した、基礎的な生物学的知見の集積を目的に行った。 1. 後胚発生 寄生直後の初期幼生の発生様式を調べるため、孵化幼生を未感染のアサリ殻内へピペットを用いて強制的に注入する、感染試験を行った。感染個体からウミグモを定期的に採取し、得られた初期幼生の胴部・腹部及び付属肢の発達状態から、孵化幼生と前年度確認した最小個体の間に、少なくとも3つの発生段階を認めた。これにより、少なくとも11の後胚発生段階が確認出来た。 2. 卵形成と産卵 成体雌性生殖器官系の組織学的観察を行った。卵巣の歩脚内分枝は各歩脚の第6節に達し、第4節までに止まる他のウミグモよりも長い。更に他のウミグモでは見られない卵巣全域での卵形成の進行を確認した。これらの事は、この種の高い卵生産能を示している。卵巣中の卵細胞は、組織学的に「卵原細胞」「前卵黄形成期卵母細胞」「卵黄形成期卵母細胞」の3段階に分けられた。卵原細胞は卵巣全域に分布し、形成細胞巣を形作っていた。卵母細胞は卵巣外側の血体腔中に突出し、その位置で卵形成が進行していた。輸卵管を介した、卵巣腔と生殖孔の直接の連絡が確認出来た。これらの生殖器官系の構造と卵形成様式は、基本的に他のウミグモと同様である。飼育下で産卵した直後の卵巣中には、前述の3段階の卵細胞とも存在していた事から、複数回の産卵が可能であると結論された。 3. 抗体作成 迅速な対策と被害拡大防止につながると期待されるウミグモ孵化幼生の早期発見を目指し、抗ウミグモ抗体の作成を試みた。作成は(株)セシルリサーチ社に委託した。特異性が認められる抗血清の作成に成功したが、より特異性の高いモノクロナール抗体の作成は、十分な活性を示すハイブリドーマのラインが得られず、断念した。
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