研究課題/領域番号 |
20658064
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研究種目 |
挑戦的萌芽研究
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用動物科学
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
金井 克晃 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (30260326)
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研究分担者 |
九郎丸 正道 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00148636)
恒川 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (50431838)
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研究期間 (年度) |
2008 – 2010
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研究課題ステータス |
完了 (2009年度)
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配分額 *注記 |
3,200千円 (直接経費: 3,200千円)
2009年度: 2,500千円 (直接経費: 2,500千円)
2008年度: 700千円 (直接経費: 700千円)
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キーワード | 精子 / 性染色体 / 性化 / モデル動物 / 性比 |
研究概要 |
精子形成過程における精子のアレル差は、精巣内において円形精子細胞が分化する際に初めて生じる。円形精子細胞において、性染色体上の遺伝子群で、半数体で発現開始し、精子細胞間をつなぐ「細胞間橋」を容易に通過しにくい遺伝子産物であれば、その遺伝子発現によりX精子とY精子に差異が生じる。まず最初に、円形精子細胞以降の精子形成のアッセイ系を立ち上げるため、ヌードマウスの皮下への移植片において、長期にわたって安定的に半数体精子を産生する実験系の確立を行った。その結果、妊娠中期頃の胎子精巣を材料とし、中腎を一部残した状態での移植により、ヌードマウス皮下で恒常的に精子産生を行い、精巣上体精子まで産出可能な実験系の樹立に成功した。次に、精子のアレル差を誘導する発現ベクター候補について、既に報告されているHuファミリー遺伝子群の精子形成で発現解析を行った。その結果、HuRは、精母細胞、精子細胞に、HuBが、分化型の精祖細胞に発現していることが明らかとなった。また、これら2つのHu因子以外(HuC,HuD)は、精巣では顕著な発現が認められなかった。これらの結果は、Hu因子は、発現特異性ではなく、Hu蛋白の本来の機能で、アレル差が生じることが示唆され、そこで、精子間のHuR(RNA-binding protein)-EGFP融合キメラベクターを開発した。しかし、この開発の途中、アレル特異的な精子の排除の効率が極端に悪いことが判明し、Tcr遺伝子を用いたベクターが、mRNAレベルで「細胞間橋」を通過しにくい新たな知見が明らかとなった。これは、Tcr遺伝子の一部をHuR-EGFP融合ベクターに組み入れれば、本研究の狙いである「細胞間橋」を通過しにくい、精度の高いベクターとなることが強く示唆された。このため計画途中で、Tcr mRNAの3'-UTRをベクターに付加した新しいHuR-EGFP-Tct UTRベクターの開発に変更した。しかし、残念ながら、本ベクターによるアレル差を生じるTgマウスを樹立することは、現時点では成功していない。さらなるベクター改良による継続した研究が必要である。
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