研究課題
挑戦的萌芽研究
我々は「軽微な脳形成不全(細胞配置異常)とそれを原因とする機能不全の少なくとも一部は、大脳皮質形成時の細胞移動を検討することで明らかにできる」との仮説をたて、実験を行っている。そこで、目的とする系において遺伝子導入を正確に行い、細胞移動や回路形成の変化による神経細胞の機能変化を、簡便に解析できれば、大脳皮質細胞移動異常とそれによる脳機能やひいては疾患との関連をより明瞭に解明できると考えた。そして、そのため、次の項目について研究を進めた。(1)簡便に大脳皮質内局所回路を評価できる手法(動物)の開発と、その応用による脳機能・脳回路の変化の検討回路の評価・改変の手法として、光刺激を想定し、光刺激システムの確立を進めた。セットアップに時間を費やしたが、22年1月になり、その光刺激システムの確立ができた。さらに、大脳皮質からの投射路形成に係る系(皮質橋路)を対象とし、遺伝子操作により回路の変化を観察する系の確立に成功した。すなわち、in utero electroporation法により、橋核にほぼ特異的に遺伝子を導入する方法を確立した。そして、この方法を用い、幾つかのノックダウンベクターを導入し、その形成・神経回路の様子の観察を進めた。残念ながら、皮質橋路に特徴的な側枝形成の変化は観察できなかったが、その機構解明に向けた、いわゆるアッセイ系の樹立はできた。さらに以下の予定実験に対し、一定の成果を得た。予定実験(2)細胞移動等に係わるLL5のノックダウンによる脳機能の変化の検討。LL5のノックダウンによりシナプス形成に変化が起きることを観察した。予定実験(3)ノックダウンした細胞が受ける活動電位の変化をモニターできる系の確立。本学工学部との共同研究となるが、新たな観測機器の導入などもあり、その観察ができる系を確立できた。
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